2013年3月9日土曜日

ル・ディヴォース/パリに恋して

監督:ジェームズ・アイヴォリー

中盤がちょっと退屈。家族の仲が良すぎる、あるいは相手方の夫婦ともっといがみ合わないと面白くない。
でも終盤はどんどん面白くなっていく。
遊園地でのナオミ・ワッツのセリフがとてもいいね。「本当の愛には自由がないの」
マシュー・モディーンがもっと絡んでもいいと思うが、朗読会に彼が現れたところで、ケイト・ハドソン達がひそひそと耳打ちをし始め、協力して追い出すシーンなどシンプルだが面白い。

あるいはマシュー・モディーンが突然現れてナオミ・ワッツに言い寄るシーン。ウィンドウショッピングを楽しむナオミ・ワッツが、これは、と思って店に入る。店に入る直前にカメラが店の中から窓越しにナオミ・ワッツを映し、ナオミ・ワッツがドアを開けて入ってくる。この不意の視点移動の直後に、待ってましたとばかりにマシュー・モディーンが窓の外に現れて大声をあげる。
その後ナオミ・ワッツが店の外に出てマシュー・モディーンを返り討ちにするのを、同じポジションでじっと捉えるのがいい。だから直後のシーンで家のドアを開けたケイト・ハドソンがナオミ・ワッツが倒れているのを発見する場面がショッキングなものになるわけだ。それは今述べたように、カメラがナオミ・ワッツに寄るのを我慢して、心理的な演出をあえて回避しているからに他ならない。

赤へのこだわりも楽しい。ケリー・ザ・バッグ、あるいは終盤のエッフェル塔でのケイト・ハドソンのスカーフ、愛人との最後のランチでもケイト・ハドソンは赤いセーターを着ている。そして『赤い靴』!

ラストのオークションは、そう、あの『最終目的地』のコンサートと同じようにエピローグとして描かれているのだが、こういうのがたまらない。バイヤー達のクローズ・アップにラ・トゥールの絵が挿入されるとこ、シンプルだけどニクい演出だね。

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