2013年3月15日金曜日

脱出

監督:ハワード・ホークス

一度目はけっこう退屈してしまったのだが、コンディションを整えて二度目を見ると、とても面白い。
ローレン・バコールの佇まいや仕草のディレクションに対する賛辞をよく目にするが、それだけではなく、ショットの組み立て方も明らかにローレン・バコールが絡んでくるシーンでとりわけ気合いが入っていると思う。
最初のローレン・バコールの登場シーンは言うまでもないだろうが、それ以降のハンフリー・ボガードとの部屋の中でのやり取りも非常に繊細に演出されている。というか、常にどちらかが部屋の中を所狭しと動いているので、単純な切り返しの構図にならず、片方をフォローしたまま両者をフレームに収めるというようなカメラワークが多くなっており、それが面白さの要因になっているだろう。
部屋の中のシーンだけでなく、ボガードの元を離れてスリのターゲットへと歩いていくバコールを追ったカメラ、あるいは夜中に歌うバコールのもとへ歩み寄るボガードをフォローするカメラワークなど、シンプルながら非常に素晴らしいショットの組み立てである。

中盤にワインボトルを返しに行ったり戻ってきたりというシーンがあって、ここは脚本の構成が随分偏っていると思うのだが、どうか。
普通、部屋を結局三回も行き来するのだから、どっかで一度別のシーンを挟んでもいいようなものを、何の中断もなくふたりはひたすら両者の部屋を行き来するのである。

ローレン・バコールがボガードの世話焼きをしようとして拒否される一連のシーンにおいては、ボガードが扉を閉じようとしたところで、その扉をバコールが開けて入ってくる。つまりここで少しバコールのボガードへのアプローチが強まっていると言えるだろう。現にその思い故にバコールは空回りしてしまうのだ。そしてそれを悟ったかのようにボガードが彼女にキスをする。

ローレン・バコールが出てこないシーンでは、ショットの組立てが平板な印象を受ける。
特に肝心の海でのミッションの描写が極めてつまらない。

朝食でピアニストにバコールが話しかけるシーンは長い長いフィックスショットだ。こういうのがいいね。
一触即発の雰囲気でここぞとばかりにローレン・バコールがマッチをする。

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