2012年11月14日水曜日

フランティック

監督:ロマン・ポランスキー

突然失踪した妻を探す物語でありながら、ことさらにサスペンスを盛り立てることなく、あくまで地味に、所々で細部を丁寧に描くあたりに好感が持てる。決して心拍数は上がらないのだけど、いつまでも飽きない。
ホテルに到着したハリソン・フォードと妻の可笑しいやりとりから、フォードがシャワーを浴びるワンショット内でたちまちに不吉な予感を起こさせる見事な手腕。デデという男の死体現場の猫の扱いや、ハリソン・フォードが屋根の上を歩くシーンの処理もいい(アタッシュケースが開いて中のものが全部出てしまうとこ、あるいはハリソン・フォードの靴がスーっと滑っていくショットね)。
妻が失踪した直後の、大使館で行列に並ばされたり、警察で全然まともに取り合ってもらえなかったり、フランス語がわかんなかったりという、フォードの徒労感の描写がとっても上手い。
あるいはエマニュエル・セニエ演じるミシェルのパンクなキャラクタりゼーションも楽しい。
喫茶店のスプレー噴射、クラブでの妖艶な踊り、少しずついろんな表情を全編を通して魅せてくれる。
傑作でしょう。

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