2021年9月3日金曜日

レリック 遺物

 監督:ナタリー・エリカ・ジェームス

オーストラリア製のホラー映画。
家をめぐるオーソドックスなホラーに、祖母、母、娘の女三世代の物語を混ぜたストーリー。
俯瞰ショットとか、さびれたテニスコートのネットのショットがなかなか堂に入っていて、また、祖母の登場シーンがなかなか雰囲気があって良い。
ホラーそのものは「家モノ」と言ってよい、オーソドックスなそれだが、そこに認知症の祖母のケアをどうするか、という要素を入れ込むことで、祖母への視線に捻りが生まれるのが上手。
認知症の主観的経験をスリラーテイストにしたのが『ファーザー』なら、こっちはその逆をやったような位置づけか。
前日に指輪をくれたはずの祖母が、指輪を盗まれたと思って力づくで取り返そうとする場面には唸った(その直前の娘が床に座って、祖母がソファに腰掛けているショットがグッド!)。

ただ、最後が尻すぼみ。相当いろんな伏線を張っていた気がするのだが、割と未消化に終わっている。と、シナリオにケチをつけたくなるのは、実は見せ方があまり巧くないからでもある。部屋が実はめちゃめちゃ広くて奥まで迷い込んで戻れなくなる、という展開は盛り上がるのだが、しかしその脱出過程はずいぶん単調。
未消化なまま終わるのも一つの作戦なのかもしれないが、もうちょっと膨らませてほしかった。


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