2021年9月20日月曜日

オリエント急行殺人事件(1974年)

 監督:シドニー・ルメット

1回目見た時は、ただひたすらイングリッド・バーグマンの芝居に見惚れて、あとは普通かな、と思った。あと、アルバート・フィニーのポワロのせいで(?)あまり集中できなかった。
ところが、大変恥ずかしながら、バーグマンの尋問シーンがワンショットで撮られていることを後で知り、慌てて見直した。そうすると、確かにバーグマンのシーンはワンショットで撮られており、しかも途中でアルバート・フィニーの背中をぐるりと回って彼女のクローズアップに移行するようなカメラワークもあって、実に見事なそれであった。そしてよくよく見ると、この映画は意外にもショットが少ないではないか。セリフこそ膨大であり、また途中で過去の回想を細かくインサートするので気付かなかった。全然見れていなかったと反省。
あとはアクションつなぎがいくつかやられてて、ほとんど完璧。お手本のようなそれ。
特にヴァネッサ・レッドグレーヴの尋問に見かねて、ショーン・コネリーが制止するジャン・ピエール・カッセルを殴って入ってくる場面のアクションつなぎがこれ以上ないスムーズさ。
これぞというワンショットはないが(何なら冒頭の船が一番美しい)、ショットのつなぎが全然気にならない、これぞ名職人の技、という感じ。
見直してみるとアルバート・フィニーのポワロにもだんだん愛着がわいてくるから不思議だ(笑)
とはいえ、とにかくこの映画はバーグマンだ。この小さな役でこれほどの印象を残せる(しかも全く嫌味がない)女優など後にも先にもバーグマンだけだ。バーグマンがこの世界に生まれて本当によかった。

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