2014年3月24日月曜日

コズモポリス=拳銃王?

ヘンリー・キングの『拳銃王』は、拳銃王グレゴリー・ペックが長いことはなればなれになっていた妻に会いに街にやってきたことで、拳銃王に対する街の多様なリアクションを生み、それが物語を転がしていく西部劇であった。

一方『コズモポリス』は、億万長者が髪を切るために街に出てきて、それに対して、彼を知る人々がリムジンの中に来ては去っていく映画である。ちなみにサラ・ガドンはロバート・パティンソン演じる億万長者の妻であり、パティンソンは何度かサラ・ガドンに近づくが、最終的には振られてしまう。

この孤高の男とその妻の図式もそうだが、何より孤高の主人公を狙う男の存在が両作品に共通しているのが面白い。どちらの男も主人公に対して恨みを持っており復讐を果たそうとする。しかも面白いことに、両作品ともに復讐は失敗し、あろうことか主人公と狙撃手が対面するという展開まで同じである。これはまことに面白いのではないか。

『ヒストリー・オブ・バイオレンス』もまた、ある種の西部劇的物語を現代風にアレンジした趣きがあったが、『コズモポリス』にもまた、西部劇的な物語を読み取ることができるだろう。
もちろん周知のように、『コズモポリス』はドン・デリーロの小説が原作であり、ほとんど脚色をほどこしていないということだから、これはどちらかというと文学的主題なのかもしれないが。

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