監督:ラオール・ウォルシュ
起源が明かされることで映画が終わる。というのはまぁいいとして。
何よりも、物語の多くが語られるキャラム一家の家周囲の照明がとても素晴らしい。『荒野の決闘』と双璧。特に徴兵をめぐるドラマ(割れたガラス窓とミッチャムの縦構図でのフレームに続いて、テレサ・ライトが家から出てくる)、あるいはジェブとアダムの殴り合いのシーンでの繊細の光の扱い。詩情、というよりはよりむしろ、メランコリックでヤバいオーラが出まくっている。
ジュディス・アンダーソンが片腕の男に話をつけて帰ってきて、幼いジェブを部屋に呼ぶシーンが全くもって泣ける。馬車が画面手前に来て、そこから降りたアンダーソンが、そのまま奥に向かって歩いていき、ジェブを呼びつけ、一緒に家に入る、というワンショット。ここにはあらゆるファミリー映画のイメージが凝集しているんじゃないかと思う。親が子供とマジで話すとき、映画が大事にすべきは、話す内容ではない、むしろそこに至る過程だ。これを例えば、「ジェブ、話があるから来なさい」→「はい」と、順番にクローズアップのカットバックで撮ったら台無しだ。そうではなく、馬車で颯爽と家に帰ってきたそのリズムでもって、そのまま母親が子供を呼び寄せること、それをワンショットで撮ること。これだ。
しかし何より感動的なのは、戦争からミッチャムが帰ってきて、その夜にオルゴールに合わせて兄弟が歌うシーンだろう。その直後のシーンで対立が鮮明になるにもかかわらず、このシーンだけは嘘みたいに心が通じ合ってるという感じで歌っている。歌い終わると犬が夜鳴きして笑わせる、というのも愛らしく、それゆえに一家の運命が悲しい。
逆に言えば、このオルゴールの再現が、ずいぶん微妙な扱いで終盤に出てくるのがちょっと不満だ。というのも、要するに話の流れとして、テレサ・ライトが憎しみを胸にミッチャムと結婚して、撃とうとするがやっぱり愛おしくて仕方ない!というエピソードであるがゆえに、あるいはミッチャムがアンダーソンに銃を渡し→テレサ・ライトが発砲して外して→ミッチャムが寄って→抱擁!というこのシーンを撮りたいがための、このお話の迂回なんだとは思うが、しかし個人的には、オルゴール鳴らして→抱擁!!で良いじゃん、と。
ミッチャムの顔つきが、いかにも賭博場の従業員って感じだ(笑)
兄弟喧嘩で取っ組み合ってるところに、水をかける、というのをワンショットで。これは老人同志の喧嘩に水をかける『拳銃王』を思い出させる(笑)水をかける。いいね。これまた、やっぱり仰々しくカメラが寄らない方がいいんだよね、たぶん。遠景で、水バサー!ってのがいいんだ。
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