2013年5月18日土曜日

キング・オブ・マンハッタン

監督:ニコラス・ジャレッキ

 面白く見たが、「傷」の扱いが決定的にダメ。「傷の痛み」が映画にどう関わってくるのかな、と思って見ていたが、終始そうした細部の演出はなく、最後にスーザン・サランドンが思い出したように言及するものの、あろうことかそれはセリフとして処理されるのみであった。
 少なくとも、娘を説得しようとして腹部が痛むとか、ベッドに横たわったときに痛むとか、あるいはラストで登壇する際に椅子にぶつけるか何かして苦悶の表情を見せる、といった演出があれば面白かったと思う。
 
 まぁ逆にそういった細部を全く気にせず、ほどよい照明とほどよいカメラワークで名優と活きのいい若手俳優の演技合戦を撮ればこれだけ面白いというのは確かだろう。ティム・ロスの役どころはとても面白い。

 余談だが、リチャード・ギアの娘役はジョージワシントンか何かの経済学部首席だとか。
監督のニコラス・ジャレッキは元々ギークで、映画の監修をやってるうちに映画が撮りたくなってNYUの映画学部を卒業後、監督達をインタビューしたりいろいろやって、ようやく長編デビューらしく、面白いメンツが集まったことが、この映画の活きの良さにつながってるのかな、とも思う。

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