2013年2月23日土曜日

スペル

監督:サム・ライミ

 出来事に対するシンプルな、つまり誰もがそうするであろうリアクションをカッコよく、ドーン!と見せること。それが共感と驚きの狭間にある「映画」の境地だ。
 
 だから「せっかくネコ殺したのに全然ダメじゃねーか!」と憤るアリソン・ローマンがとっても可笑しく、あるいは「霊媒師にお金を払ったよ」と報告するボーイフレンドのかっこよさに素直に感動する。
 こうしたホラー以外の要素における的確な演出が嬉しい。例えば昇進レースは君がトップだ、と言われたアリソン・ローマン、ここでライバルの男の方をチラッと見てほくそ笑む、なんて演出がありそうなものだが、聡明なサム・ライミは決してそういう事はしない。

 ホラーシーンだが、駐車場でのアクション造形は極めてよくできていて、ここは本当に面白かった。ハンカチの軌道を追うようにカメラがパンすると、老婆が後ろにいる、というのもベタだが素晴らしい。このアクションへと至るまでの雰囲気の醸成も見事。特に複雑な事をやるのではなく、照明をそれまでよりダークにして、ヒロインの視線ショットで車を怪しく撮りさえすればオッケーでしょ、という確信。

 そしてラストのエスカレートぶり。墓場を掘り、「てめぇにくれてやる!」とばかりに封筒を突っ込み、「あばよ!」と捨て台詞を吐くアリソン・ローマンが可笑しく、またそのあとのグダグダな展開には笑うしかない。
 

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