監督:クロード・ミレール
冒頭、車が画面を横切ると同時にシャルロット・ゲンスブールがスキップ気味で道を渡るカットが、この作品の良さを凝集してる。とっても安定したカットと編集で組み立てながら、人物たちの動きに遊び心がたっぷりあって、物語ではなく人物のアクションを見る喜びに溢れている。
一時拘留されていたゲンスブールを伯父が迎えにきたシークエンスがとても好きだ。ゲンスブールは一度万引きが発覚して伯父が怒鳴りちらしたばかりだ。今回もそのような展開になると思いながら、拘置所の門から二人が出てくる様子を見る。すると伯父は怒鳴りちらすというよりは、半ば呆れ気味にゲンスブールのお尻を蹴っ飛ばす。そしてゲンスブールがそれに「何すんの!」と怒る。そんなノリで二人が家に帰っていく様をロングショットで捉えた夜の美しさね。こんなに優しさに満ち溢れた演出ってあるんだろうか。
地味ながらこれは相当すごい作品だと思う。
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