監督:クロード・ミレール
ミシェル・セロー、ロミー・シュナイダー
80年代の金字塔だろう。素晴らし過ぎる。
冒頭からこれでもかと降る雨が、窓を覆うなか、脱線に脱線を重ねる渋い尋問が続いていく。クローズアップとフルショットの構成の妙。カメラが引いたときの照明にもしびれる。いつしか雨は止んでいた。時折挿入されるイメージショット(少女の死体、灯台の光、あるいは霧笛の音)も抜群にカッコよく、またこうしたイメージの集積がミシェル・セローの「自白」を構成しているに違いない。この現実と虚構の戯れと倒錯は、次作の『死への逃避行』へと引き継がれる。
そしてロミー・シュナイダーの謎めいた魅力もすごい。真っ暗な部屋で語り合うシュナイダーと刑事。全編を通して、この映画の「尋問」はおしなべて「語らい」へと変貌していく。出てくる人間が全員幸せそうじゃない、というのが良い(大晦日の取り調べ室なのだから)。
夜明けに終わる映画としても忘れがたい。何から何まで最高だ。
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