監督:イジー・メンツェル
ファーストショットがとにかく素晴らしい。
霧が巻いている夜明けの村、その霧の向こうからパヴェクが歩いてきて、指笛を鳴らすとカメラがパンして、オチクが出てくる。カメラが二人を捉えたままパンすると、撒かれた水が朝日を反射している実に美しい道路が二人の行く手に映り込む。
冒頭から様々な人々が登場し、そのたびに小事件を起こすわけで、その小ネタっぷりがとても面白く、またそれを捉える滑らかなカメラワークも見事だ。
庭にベッドを運ぶ別荘族を映したあと、トラックを誘導するオチクを映し出したり、あるいは少年が思いを寄せる学校の教師に軽くあしらわれた後、洗濯物を干すヤナと挨拶をしたりと、人物と人物がカメラによって関係づけられる様子というのは、見ているだけで気持ちがいいものだ。
上記した洗濯物を干すヤナと少年のやりとりの直後、ヤナが夫の湖でのシーンなんかとっても可笑しい。夫が潜っている間に不倫相手とキスをするという発想がまず楽しく、またものの10秒ぐらいしか潜っていないのに「42秒!」と言って、それで場がおさまるという映画的テキトーさが可笑しい。
ついでに、ヤナが最初に自転車で映画館に向かうショットはハッとする美しさだ。
あるいはバーでのパーティも、やはり映画というのはパーティを描けばそれだけ面白くなるという感じで、確かにこのへんもう少し盛り上げてくれても良いような気がしたが、やはり楽しい。
(盛り上げてほしい、というのは、どうもこのパーティシーンが言語的というか、視覚的見せ場に欠けるという意味。ヤナとカシュパルの密会にしても、あれでいいのか。)
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