2013年12月24日火曜日

ビザンチウム

監督:ニール・ジョーダン
(ドアの開閉:約25、主観ショット:5)

シアーシャ・ローナンと通りかかった老人が、老人の部屋で会話するシーンにおいて、老人が持ったアルバム、そしてシアーシャ・ローナンのベスト、それから後ろに配置された冷蔵庫が赤い。この3つの装置の赤の感覚がとても良い。あるいはタイトル明けのファーストショットのベージュを基調とした部屋の配色も良い。

シアーシャ・ローナンが青年が流した血をすするシーンは、吸血鬼としての本性と、観客が予想するであろう二人の運命=恋の予感とをないまぜにした巧さがある。そして二人が出会いつつ、大量の血が流されなければならない、ということから、青年の白血病という設定が与えられたのかもしれない。

ローナンと青年が遊歩道で別れてから、男を捕まえたジェマ・アータートンが合流する長回しが偉く決まっている。長回しの最初の方で、青年が立ち上がって去っていく後ろ姿を捉えているのがとても良い。

極めて断片的に撮られている。アータートンがポン引きを殺す横移動と彼女を横から捉えたショットの直後に、徘徊する娼婦にアータートンが駆け寄るショットを急に入れてしまえる強さがある。
断片性が失われるのは、ローナンの日記をめぐって講師が関わってくるあたりの時間帯だろう。このあたりが物語上の弱みかもしれない。
あるいは洞窟での「洗礼」を繰り返し描いてしまうのはどうか。

カーチェイスでの、アータートンの決死のダイブは素晴らしかった。そういえば彼女はオープニングでも見事なダイブを決めているではないか。オープニングのチェイスは極めてかっこいい。ここから見事に走り切ったと思う、この映画は。本年度久々の快作。

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