終盤の、車を運転するクセニア・ラパポルトを真正面から捉えたクローズアップがとってもいい。さらに続く駐車場での視線の交錯、内側からの切り返し。エレベータ内のバストショットも相当力が入ってる。
しかし全体として、ショットの構成が雑であると思う。クローズアップの入り方が暴力的で、しかもそれほど良くない。あるいは引いた時のショットにも(例えばクロード・ミレールのような)キレがあるとは思えない。
あるいは夜の道を歩くこと、に全く楽しさがない。これの前にトリュフォーの『柔らかい肌』を見たからだろうか。運動の方向、視線の方向、カメラの方向、それらの絡み合い、に面白みがない。『柔らかい肌』のまるであらゆる空間をスクランブル交差点のようにしてしまう力がない。無くていいけど。
主観ショットの多用、はそれだけでは力にならない。動く方向と視線と、カッティングのタイミングが重要なのだろう。その点でこの映画はあまりうまくいっていない。
メイドの衣装が良い。
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