監督:アルフレッド・ヒッチコック
あまりにも荒唐無稽であり、大英博物館の件などは開いた口がふさがらない。凄すぎる。
照明に関して羅列。
・冒頭、現場に来た刑事二人組のクローズアップを斜めから。刷子からのライトが二人を縞模様に照らす。手前の上司の顔は露光オーバー気味で、奥のフランクの顔の照明が抜群。
・ロンドン警視庁の警部室でのフルショット。グラスが光を力いっぱい反射している。それから正面に座っている警部の顔がかなる光っている。そしてその奥にはタンスがあって、このタンスの影=黒が警部の顔と見事なコントラストをつくっている。手前のソファーの影も見ておきたい。
・犯人の指紋をとるシーン。カメラが指のアップから持続して、ミドルよりやや後ろまで引く。左側の机に光があたっていて、その奥とのコントラストがある。この机を照らすのとおそらく同じ光源でもって、犯人の手、犯人の上着の右半分、刑事と犯人の顔が照らされている。
それとコントラストをなすのが、影に隠れた犯人の上着の左半分。
二人がズレた位置にいるから、影をつくりつつ、二人の顔をしっかり照らすことができる。
・レストラン。アリスの視線ショットで中の様子が映される。上半分が破天荒に明るく、下半分が(客が食事をしているゾーン)が嘘みたいに暗い。こんなの嘘だ(笑)
・夜、トレーシーがアパートの前に立っているショット。街灯で怪しく照らされたアパートは、まるで「屋敷」だ。
・アリスを誘惑した男の家。男がアリスに上に上がっているよう指示し、自分は家主の方へ向かう。カットが一回割られ、カメラが男の正面にまわる。階段の壁にあたった影の感じが凄い。
・アリスがドレスを身体にあてがい、男がピアノを弾くショット。真ん中の壁が真っ黒だ。二人の顔は明るく照らされている。
・ドレスに着替えたアリスは全身真っ白だ・・・。
・殺人を直接見せず、ベッドのゆれるカーテンを映したショットは、それほどのインパクトがない。右手前の黒に対し、左側の照明がそれほどインパクトがない。しかしベッドから出てきたアリスがそこに立った瞬間、画面が引き締まる。
・家に証拠を残していないかとキョロキョロ見渡すアリスのショット。アリスは黒い上着を羽織っており、全体的に黒のトーンだが、右上に例の真っ白なドレスがドーンと存在感を発揮している。そして何度か「ゆれる」。
・アリスの家。アリスがいったん部屋に入り、そのあと降りてくるとき。入るときは、カメラは上にアリスの部屋のドア、真ん中に階段、そして下に1階のキッチンとバランス良く映しているのに対して、出てきたときはカメラが少し上に配置されている。これにより、1階と2階をつなぐ階段の、特に影が存在感を増している(気がする)
・トレーシーが来てから、アリスの父親がトレーシーに席を譲り、そこにトレーシーが座る。で、そこでカッティング・イン・アクションして、トレーシーを正面で捉える。このショットが多分一番凄い。手前右にアリスが敷いた白いテーブルクロスが映り、真ん中左側にはフランクが組む手が映っている。そしてトレーシーの吸う葉巻の煙が怪しくゆらめく。
・自首しに来たアリスが案内に連れられて警部室へ向かう、この廊下!!!!
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