2013年1月10日木曜日

レ・ミゼラブル

監督:トム・フーパー

それまでパンや食器をくすねていたバルジャンが、旗を持ち上げ、事故現場の馬車を持ち上げ、コゼットを抱きかかえながら疾走し、ガブローシュの遺体を抱きかかえ、瀕死のマリウスを背負って送り届ける。そして使命を果たしたバルジャンは、コゼットに内緒で去ろうとし、馬車に乗ろうとした瞬間、自分の荷物を持ち上げることができなくなる。
ユゴーの原作にどれほど忠実なのかは知らないが、こうした視覚的寓意性において優れた脚本と言えるだろう。

しかしそれにしてもこの演出はヒドい。ちょっと犯罪的ですらある。
ヒュー・ジャックマンが教会で熱唱するシーンのクローズアップは酷すぎて思わずスクリーンから目を背けてしまった。

あるいは、それまで歌、歌、歌で来ていたところで、セックスシーンだけ突然ノーマルな演出にしてショッキングに見せよう(と思ったのかなんだか知らないが)というその品性の下劣さには思わず閉口する。
あるいはエポリーヌが死ぬシーンにおいて、突然取ってつけたようにガブローシュの泣き顔を挟むというこれまた物凄いあざとい演出には呆れる他ない。

あるいはそもそもこの監督さんは物語を語ることすら出来ていないではないか。
とりわけ目が覚めたマリウスの手をとるコゼット、お前はいつからそこにいたのだ。
コゼットが歌いだすとマリウスはそれがコゼットであることに気づく。いや、出会って2日しか経ってないのだが。
そもそもここって、二人の感動の再会のシーンなのに、なぜにこれほどお粗末なのだ。

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