監督:ミケランジェロ・アントニオーニ
アントニオーニらしい、縦構図の多用、粉塵や煙によるアクセントが横溢していながら、ヴェンダースの『まわり道』を思わせるような、アンニュイでどこか「素敵な」ロードムービーに仕上がっている。いや、アントニオーニがこんなに「面白く」「切なく」ていいのか?と思いながら見ていた笑
スペインやドイツなどを舞台とする豪華な設定であるが、とりわけ街路樹の美しさに目を奪われる。ニコルソンが「後ろを向いてごらん」と言って、マリア・シュナイダーが後ろを振り向くところのショットは唯一無二だろう。
終盤に『情事』を彷彿とさせるクレーンショットからの意表をついた長回しがあって、まったく見事なのだが、しかしこういうところが、アントニオーニらしいようでちょっと面白くしすぎじゃないか、という気がする。ハネケっぽいというか。
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