監督:フィリップ・マーティン
2006年の本作をもって、完結。終わり方の潔さに、このシリーズのスピリットが端的に現れているように思う。
またペドフィリアかよ、という感じがしなくもないし、他のエピソードに比べて脇役の刑事にあまり焦点が当たらないのが残念だし、ヘレン・ミレンの妹(とその娘)の扱いが超ご都合主義だとか、色々問題はあるが、それでも上々の仕上がりではないだろうか。
冒頭から、手持ちのカメラに素早いカッティング、手前に障害物を置いて歪な空間を作っていくスタイルが、2006年、如何にもボーン・スプレマシー以後、という感じがする(知らんけど)が、 しかし特に後半においてはかなりカメラの動きも抑制されているし、時々見られるガラスに街並みが反射したショット、病室の壁紙と日差し、そしてトム・ベルのカムバックとその痛切なまでの姿(この作品が放映される前に病死したというのだから、いっそう身につまされる)。
トム・ベル、被害者の父、ヘレン・ミレンが、人間としての不完全さを受け止めていく姿が、本筋の展開と共鳴しながら、かなり優しい眼差しの作品として終結しているのではないだろうか。
各エピソードのスタイルに、それぞれの時代のスピリットがよく反映されたシリーズなので、またじっくり見返すのも楽しみだ。素晴らしかった、ありがとう。
(テレビシリーズというのは、なぜか最後に、ありがとう、と言いたくなる)
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