2020年3月13日金曜日

Red

監督:三島有紀子

とにかく、セリフの稚拙さが、まったくもって救いようがない。
「こんな部屋に住んでたんだ、、こんな景色を見てたんだ、、、」というセリフ、あるいはセリフ回しをはじめ、この映画で夏帆が演じる女性は、申し訳ないが「ただのバカ」にしか見えない。これは演出の問題である。
第一、この映画で起きていることは、まったく劇的ではない。ただ人妻が浮気してるだけである。別にそれは良い。しかし、それをさも何かとんでもなく切迫した、衝撃的ななにかであるかのように見せるハッタリ演出は、完全に場違いである。
大雪のなか妻夫木と夏帆が身を寄せ合いながら歩く、その姿は、まるで戦場を逃れてきた孤児のような姿なのだが、単に飯食ってから駐車場を歩いているだけなので、滑稽なことこの上ない。
また、妻夫木が鼻血を出して倒れて定食屋の二階で休ませてもらっているところで、定食屋の女将と夏帆がタバコを吸うシーンが、本当に本当にひどい。なんと、1分ぐらい謎の沈黙が続いたあと、女将の方が「女は大変だねぇ」とつぶやき、終わる。何なのだ!!!
そもそもこの映画は、意味のない沈黙が多すぎる。大雪を背景に、男女が沈黙してれば何かが生まれる?生まれないよ。ただのバカップルだこんなものは。さすがにこんな映画が未だに作られてしまっているというのは、この国の現実として相当マズい。
端的に、何かを叙述するということが全くできていない。プレゼンも出来ないのにリプレゼント(表象)などできるわけがない。
『パラサイト』はつまらないが、叙述はちゃんとしている。この映画にはそれがない。

要するに、愛着障害を抱えた女が平凡な幸せを求めて結婚しちゃったが、やっぱり無理だった、妻夫木君と刹那的に生きるほうが良かった、と、ただそれだけの事なのだ。
それを120分間延々と、中身のない沈黙と感傷的な音楽と、AV以下のベッドシーンで埋めている。本当に犯罪的。二度と映画撮らないでほしい。




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