2015年4月30日木曜日

ドラッグストア・カウボーイ

監督:ガス・ヴァン・サント

マット・ディロンが言う、「いつ降りるべきかの合図を探している」。彼はその合図に取りつかれている。犬の話、ベッドの上の帽子といったジンクス。
このジンクスというモチーフは、人生の身も蓋もなさの裏返しだ。身も蓋もないなかで、「降りる」という決断をするためにこそ、彼はジンクスに頼る。

そんな一人の男の精神的には過酷な物語を、これほど軽快に語ってみせる素晴らしさ。
粋な音楽の使い方、ヴァン・サントらしい年配の男の存在、広大な大地を捉えた俯瞰ショット、美しく時に不吉な空、街のビル群、そうした主人公たちの周囲の描写が、この映画を軽快に、しかしどこか切なく、苦みの効いた映画にしているだろう。

ヤク中映画の主人公というのは、ヤクに溺れて堕ちるとこまで堕ちてグダグダになっていくというのが定番だと思うが、この映画のマット・ディロンは徐々に勢いがなくなってはいくものの、しかし行動力を失わないところが面白い。


大胆な省略が二度ある。
一度目は刑事がマット・ディロンらの家をめちゃめちゃにする描写の省略。
二度目はマット・ディロンが病院を脱出する描写の省略。

マット・ディロンとケリー・リンチの別れが二度描かれる。
一度目はマット・ディロンが去り、二度目はケリー・リンチが去る。


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