監督:ラオール・ウォルシュ
中盤でロバータ・ヘインズがフィル・ケイリーに捨てられるシーンがあるが、ここで黄色い美しい服を着たかつての女が残酷な男に捨てられたその後ろ姿を、後から来た3人の主観ショットによって捉えることで、この映画に見事な抒情が生まれている。スレイトンによって捨てられたり、恋人を奪われた者達が、偶然に出会いながらその都度仲間として報復へと向かっていくという物語構造を、見事に画面によって象徴的に描き出している。
あるいはその直前のロバータ・ヘインズがドナ・リードと取っ組み合うシーンはまた見事にヒッチコック的というか。窓からの主観ショットによって誤解が生まれ、ロバータ・ヘインズがドナ・リードにつかみかかる。ドナ・リードは何のことかわからない。
この二人は最終的に和解することなく終わるわけだが、しかしヘインズが倒れたところにドナ・リードが駆け寄るショットが一つだけ、これまた見事にリズミカルなカッティングで挿入される。
終盤の取引のシーンはそのままトニー・スコット『マイ・ボディガード』に連なっていく。
またラスト数分はほとんどセリフゼロである。
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