2022年9月17日土曜日

NOPE ノープ

 監督:ジョーダン・ピール

冗談ピール、と言いたくなる冗談みたいな映画。
もちろん、人種的マイノリティが「目を合わせない」ことを生存戦略とする現実の反映はあるにせよ、前2作ほどそのテーマ性は強くなく、それを飛び越えてホラ話に大振りしているのが新鮮であった。シャマラン、あるいはデ・パルマ的な、映画モチーフの氾濫も目を引く。
「目を合わせない」ルールだが、終盤で兄娘がそれぞれ目を伏せながら、お互いの行く末を見守る、という感じが、妙な味わいで印象的だった。家の上で人々の悲鳴だけが聞こえる、というのはなかなかショッキングな演出。ということで、見どころは多い。

しかし、サウンドによる演出の主張が強すぎるのはいささか気になる。簡単に言えば、「ここはこう見てくださいね」という演出が随所にあるのだ。例えば遊園地の経営者のカウボーイが、過去を語ってフラッシュバックするシーンは、過去を語っている場面から仰々しいサウンドが流れる(フラッシュバックのショットになって初めてその”意味”がわかるようになっている)。あるいは、電気屋の店員の背後から同僚がやってくるシーンでもホラーサウンドが加えられている。ほかにも、それ自体では特に何も起きていないシーンにサウンドエフェクトをかけて煽ってくる演出が多く、一個一個はそれほど気にならないが、振り返ってみると無駄が多い。
しかし撮影は堂々たるムードで、砂煙の演出とか、どこまで実写でどれぐらいCG使ってるのか気になった。
父親が馬から転落して、彼のテンガロンハットがころころ転がるのが良い。これもワンショットで撮ってるが、撮るの難しいのでは?笑


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