監督:井口奈己
井口監督の作品は初見。
冒頭近くの、ニシノユキヒコが交通事故に遭うシーンの演出がまったくもって素晴らしい。
赤と黄の美しい花を手前に配した構図で竹ノ内豊をカメラがとらえると、松葉杖で歩く女性が彼を呼び止める。すると彼女はバランスを崩して、それを介抱しようと駆け寄ったところで、トラックが突っ込んでくる。というところで、ここでは松葉杖、彼女が落としたリンゴが転がっていく様が、そしてトラックが、さらに言えば事故の瞬間をとても深刻に受け止めているとは思えないバカバカしくも可笑しい表情リアクションが、快活な形で連鎖している。おお、これぞ映画だ、となるが、その後このような映画的なシーンに立ち会うことはできなかった。
ところでこのシーンでは竹ノ内豊のシャツの色が違った気がする。
庭の風だとか、別にすごくもなんともないわけで。
『愛おしき隣人』の方が百倍面白い。
0 件のコメント:
コメントを投稿